Cloudlockは他製品と土俵が違います。先に前提を押さえてください。
各項目に評価の根拠を併記しています。全製品で同一の10軸を使用しているため、製品間で比較できます。
OAuth連携で企業環境につながっている第三者アプリを洗い出す機能が独自の強みで、他社があまり踏み込まない領域を押さえています。一方でインライン経路を持たないため、利用者がどのクラウドサービスへ通信しているかという一般的なシャドーIT検出は、Cisco Umbrellaなど別製品との併用が前提になります。
本製品はインライン検査を持ちません。プロキシもエージェントも使わない設計であるためです。未許可SaaSのリアルタイム遮断が必要な場合は、CloudlockではなくUmbrellaやCisco Secure Accessなど別製品の機能を使うことになります。CASBの4機能のうち、この軸だけは構造的に対象外です。
製品の核であり、この一点に特化しています。SaaSのAPIを通じて、既に保存されているデータの遡及的な分析、クラウド間の通信の分析、管理外端末からの利用の把握までを、通信経路に触れずに行えます。
ファイル名やラベルではなく内容を見る検査に対応し、正規表現・閾値・近接条件による調整ができます。違反時の対応も、対象SaaS側のネイティブ機能を呼び出して隔離や暗号化を実行する方式です。
機械学習による異常検知(UEBA)を備え、通常ありえない移動速度でのアクセスや許可範囲外の国からの操作を検出します。ただしマルウェア対策やWeb脅威防御の主体はCiscoの他製品側にあります。
Cloudlock単体はSSEプラットフォームではなく、CASB単機能の製品です。CiscoがSSEとして案内しているのはCisco Secure Accessであり、そちらにCASB機能も内包されています。Cisco製品群としての連携はありますが、Cloudlock自体をSSE統合として評価はできません。
API接続のみで完結するため、通信経路の変更・エージェント配布・証明書展開がいずれも不要です。送信元IPも変わりません。本サイトで扱う製品の中では最も導入負荷が低い部類です。
単機能である分、設定・運用はシンプルです。ただしCisco製品群を組み合わせて使う場合は、管理画面が製品ごとに分かれます。
Cisco経由での提供体制はありますが、CASBとしてのCloudlockに関する日本語の技術情報・導入事例は他製品と比べて限られます。
価格は非公開です。単機能製品のためモジュール積み上げの複雑さはありませんが、実用上はUmbrellaなど他製品との併用が前提になることが多く、その場合は組み合わせ全体での見積りが必要になります。
評価方法
各項目5点満点。総合スコアは10項目の単純平均を機械的に算出したもので(3.5)、
重み付けや調整は行っていません。評価は公開情報と、導入・運用の現場で論点になりやすい
観点に基づくCASB.JPの見解です。製品の優劣を断定するものではなく、組織の規模・既存環境・
運用体制によって適性は変わります。評価時点の情報に基づくため、最新の状況は各社にご確認ください。
採点基準(5.0〜1.0の定義)と10軸の詳細はこちら →
この製品を理解する鍵は、「CASBの4機能すべてを担う製品ではない」と最初に認識することです。プロキシもエージェントも使わず、SaaSのAPIだけで完結する設計を貫いています。その結果、導入負荷は本サイトで扱う製品の中で最も低い一方、通信をその場で止めるといった制御は構造的にできません。
独自性が最も出ているのが、OAuth連携アプリの監査です。従業員が業務アカウントで外部サービスにログインすると、そのサービスに一定の権限が渡ります。この「気づかないうちに権限を持っている第三者アプリ」を洗い出す機能は、他社があまり前面に出していない領域です。
検討する際に確認が必要なのが、Ciscoの現行製品体系との関係です。詳細は後述しますが、CiscoがSSEとして案内しているのはCisco Secure Accessという別製品で、そちらにもCASB機能が含まれます。「CiscoでCASBを検討する」場合、選択肢は1つではありません。
通信経路のどこに介在するかは、導入負荷と制御できる範囲を左右します。
SaaSのAPIに接続するだけで動作します。通信経路上に置かれないため、遅延の発生も、利用者側の体感の変化もありません。プロキシの処理能力を見積もる必要もありません。
導入前から既にSaaS内に保存されているファイルも検査対象になります。「今から先」だけでなく「これまでの蓄積」を棚卸しできる点が、インライン型との大きな違いです。
利用者の端末を経由しないSaaS間の連携も、API経由で把握できます。端末にエージェントを入れる方式では見えない範囲です。
業務アカウントに紐づいた第三者アプリを検出し、付与されている権限を確認できます。利用状況をもとにした評価情報も参照できる仕組みです。
業務アカウントで連携された外部アプリを洗い出し、権限を確認して制御します。本製品の独自性が最も出ている機能です。
内容を見る検査に対応し、正規表現・閾値・近接条件で調整できます。規制対応向けの定義があらかじめ用意されています。
対象SaaSのネイティブ機能を呼び出し、ファイルの隔離や項目単位の暗号化を実行します。
機械学習により、通常と異なる操作や、地理的にありえない移動を伴うアクセスを検出します。
既にSaaS内にあるデータを遡って検査し、公開範囲の不備を洗い出します。
Umbrellaなど他のCisco製品と脅威情報を共有し、Web側の防御と組み合わせられます。
カタログには載らない、現場でつまずきやすいポイントです。
このページで最も重要な情報がこれです。Ciscoには現在、CASB機能を提供する経路が2つあります。この違いを理解せずに検討を始めると、話が噛み合いません。
ひとつが本製品Cloudlockで、API専業のCASBとして提供が続いています。もうひとつがCisco Secure Accessで、これはCiscoが現在SSEとして案内している製品です。ZTNA・SWG・CASB・FWaaSといったSSEの中核機能に加え、DLPやリモートブラウザ分離、AI利用の制御なども含む構成になっています。つまりCASB機能はSecure Access側にも内包されています。
実務上の判断としては、CASBを含むSSE全体を新規に整備したいならSecure Accessが検討対象、既存の環境に手を入れずAPI型のCASBだけを足したいならCloudlock、という切り分けになります。既にCloudlockを利用している組織では、将来的な構成についてCisco側に確認しておくのが安全です。
以下は、Cloudlockを選ぶ場合に確認しておきたい項目です。
価格は非公開です。単機能製品のためライセンス構成自体は複雑ではありませんが、実用上はUmbrellaなど他のCisco製品との併用が前提になることが多く、その場合は組み合わせ全体での見積りが必要です。またCisco Secure Accessという選択肢もあるため、「CASB単機能を足す」場合と「SSEとして揃える」場合の両方で見積りを取って比較するのが実務的です。
この4製品はいずれもSaaS側の可視化・API監査・データ保護を扱えるため、同じ土俵で比較できます。違いは、API監査をどこまで単独で完結させるかです。
| 観点 | Cloudlock | Microsoft | Skyhigh | Netskope |
|---|---|---|---|---|
| 起点 | API型CASB単機能 | Microsoft環境の統合 | データ保護(DLP) | CASB・クラウド可視化 |
| API監査 | 主軸(これのみ) | 主軸(M365で特に強い) | 主軸のひとつ | 備える(併用前提) |
| インライン制御 | 持たない | 条件付きアクセスと併用 | プロキシ方式を併用可 | 主軸のひとつ |
| OAuth連携アプリ監査 | 独自の強み | 対応 | 対応 | 対応 |
| エコシステム | Cisco | Microsoft | Skyhigh SSE | Netskope One |
| 向く環境 | 既存Cisco環境 | M365中心 | データ保護重視 | SSE全体を統合 |
Cloudlockだけ「インライン制御を持たない」と明記しているのは、欠点の指摘ではなく設計方針の違いです。通信経路に触れないからこそ導入が軽く、既存環境への影響もありません。ただし要件にリアルタイム遮断が含まれる場合は、この1行が選定の分岐点になります。なおCiscoでSSE全体を検討する場合の比較対象は、CloudlockではなくCisco Secure Accessです。
同じくAPI監査を主軸とする製品。エコシステムがCiscoかMicrosoftかという対比で最も比較しやすい相手です。
Microsoft Defender for Cloud Appsを見る →API監査に加えプロキシ方式も持つ構成。データ保護の深さで比較されます。
Skyhigh Securityを見る →インライン制御まで含めて1製品で揃えたい場合の選択肢。設計思想が対照的です。
Netskopeを見る →ネットワーク統合を起点とする対極の構成。検討の入り口が全く異なります。
Cato Networksを見る →「CASB製品として弱い」のではなく、「CASBの一部機能に特化した製品」です。通信経路にも端末にも触れずに始められる点は他製品にはない現実的な利点で、既にCisco製品を導入している組織なら追加の選択肢として妥当です。特にOAuth連携アプリの棚卸しは、他社であまり代替が効きません。一方で、これ1つでCASBの要件が満たせる場面は限られます。リアルタイム制御が必要なら他製品との併用が前提になり、SSE全体を整備するならCisco Secure Accessという別の選択肢を先に検討すべきです。単独CASBとして新規に選定するなら、必ず他製品と並べて比較してください。
掲載内容は評価時点で一般に公開されている情報に基づく概要であり、最新の機能詳細・価格・ ライセンス条件は変動します。「Cisco Cloudlock」はCisco Systems, Inc.の商標です。掲載および評価は製品紹介を 目的としたものであり、各社との提携・代理店契約・認定関係を示すものではありません。 評価はCASB.JPの見解であり、特定製品の採用・不採用を推奨するものではありません。
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